「テンス」は 2つの時点 「発信に表現されている現象」の時点と「発信」の時点のふたつの関係だということを前回お話ししました。
ちょっと、日本語でみていきましょう。
前回あげた例「ラーメンをたべた」「ラーメンをたべる」を再度取り上げます。
「山田さんはラーメンをたべた」
ですが、 「山田さんはラーメンをたべ」という部分(命題といったりするのですが)だけで、
いつ起こったかがわからなくて、タイムライン上にマグネットはおけなくても、
どんな事柄を示しているのかはわかりますね。
そうすると、「山田さんはラーメンを食べた」というのをまさに今目の前の人から聞いたということであれば、 「発信時点」青マグネットを 「今」の上に置きます。
「山田さんはラーメンをたべ」まで聞くと、頭の中で「山田さん」「ラーメン」そして、箸を使って、麺をすすりこんでいる様子など、が目に浮かびます(このイメージ部分が命題です)
最後に「た」という言葉を聞いて、初めて、「赤マグネット」(現象の時点)を、「青マグネット」の左におけるということです。
また、「たべた」ではなくて、「山田さんはラーメンを食べる」だったら、
最後の「る」を聞いて、始めて、「赤マグネット」を「青マグネット」の右におくことになります。
ということで、日本語では、例えば、「食べる」という動詞を例にとると、「る」と「た」の違いが、マグネットを置く位置を示している「テンス」になります。
さて、ここまで、日本語では「る」「た」が「テンス」を表す形で説明してきましたが、
動詞のグループによっては、「飲む」「飲んだ」のように「る」「た」にならないこともあります。これについては、別途解説しますね。
★学習者にとって、テンスを理解することは難しくないのですが、この動詞の活用に悩まされることになります。
再び、「る」「た」に戻ります。
この二つの形で、「過去」と「未来」だけを表しているわけではないのです。
「食べる」の「る」は、
「明日、ラーメンを食べる」(「未来」)と
「毎日、ラーメンを食べる」(「習慣」などと呼んだりします。要は繰り返しです。)
じゃあ、「る」はこの「未来」と「習慣」の2つを表すの?
という質問に「はい」と言いたいのですが、主要なものにもうひとつあります。
「明日、ここにいる」(「未来」)
「毎日、ここにいる」(「習慣」)
「今、ここにいる」(これは「現在、まさに発話時点と一致する「今」です)
ということで、「る」は3つ「未来」「習慣」「現在」を表します。
ただし、「今、ラーメンを食べる」といっても、「未来」ですよね。現在は、「たべている」だから。
ヒントとしては、
「食べる」のような「動作」の動詞では、「る」の表す「テンス」は「未来」と「習慣」
「いる」のような「状態」の動詞では「る」の表す「テンス」は「未来」「習慣」と「現在」
になるということ。「動作」「状態」の動詞の種類によって、意味するテンスに違いがあるんですね。
ということで、日本語教育でよく使われる「テンス」の用語は、
「た」が表す「過去」
「る」が表す「非過去」
です。「非過去」というのは、『「過去」じゃない、「未来」「習慣」「現在」のどれかだよ。』という意味ぐらいに考えておいてください。
「テンス」はここまで。
最近のコメント