にほんごを教えるヒントー相手に立場にたつ(動詞の活用に関連して)

 

初級、それも前半の学習者を教えるときに、

動詞の活用を教える場面がありますよね。

 

いろんな教科書があるけれど、「~ます」の形から紹介しているとして、

(写真を)「とます」は 5段活用の動詞だから、「とない」になる。「と」になる。

5段に「らりるれる」「とない」「とます」「と」の順。

(バスを)「おます」は 1段活用の動詞だから「おない」になる。

1段つまり「り、り、り」は変化がない。「おない」「おます」「おる」 になる。

だから、学習者にとって、5段動詞か、1段動詞かを見極めることが、超重要。

 

「おきます」は どう?  朝8時に「おます」

これが、1段動詞だよ、ということがわかって、初めて「おない」「おる」と自信を持って言える。

一方で、  荷物を「おます」は5段動詞だよ、とわかって、初めて「おない」「お」と言える。

だから、1段活用の動詞か、5段活用の動詞かわかるまでは、うかつに活用できないわけです。

 

で、日本語を子供のころから使っていれば、

「にもつをおく」「おきます」「おかない」

「8時におきる」「おきます」「おきない」 という活用はすでに知っている。

 

自分がその動詞の活用がわからないときに、

置く 置きます  とか  起きる 起きます  とか

すらすらっといえるものだから、

それで、1段活用か、5段活用か、すぐにわかるわけです。

それはそれで、OKです。

ただし、学習者に伝える時は、その方法は禁物ですよ。という話。

以下、架空の話

T(TEACHER)「Aくん、「かります」の「ての形」は?」

A「先生、かります は 1グループ(5段動詞の別の言い方)?2グループ(1段動詞の別の言い方)?」

T「ほら、かりますは かりる、になるでしょう?「ます」が「る」になるのは、2グループだよ」

A「はあ、じゃあ、かります、は かりて、です」

T「はい、いいですね。じゃあ、のりますの「ての形」は?」

A「のりますは、1かな?2かな?」

T「のります、のる、でしょ! のりる じゃないくて、のる、 りが るになっているから、1グループ」

A「じゃあ、のります は、 のって」

T「はい、いいですね」

A「先生、私、 のる  かりる、 わかりません。 だから、1か2かわかりません」

T「え、そうなの・・・」

はい、そうなんです。

母語話者や上級者が使う 動詞の活用のチェックのやり方を、学習者に伝えても、

そもそも、「ますの形」しか、しらない学習者に、別の形から推測させるって、

無理ですよね。

 

気づくと、そういうことをやってることがある、ということ。

だから、本当に学習者の立場になって、指導することを心がけたいですよね。

 

母語話者にとって、あたりまえのこと、簡単なやり方がわからないからこそ、学習者は悩むんです!