検定対策ことはじめ「テンス」「アスペクト」6

「ている」の続きです。

前回 「食べる」「開く(あく)」「着る」の3つの動詞を出して、動詞の種類によって、

「~ている」が持っている可能性が異なることを示しました。

「進行」「結果状態」「繰り返し」の表を覚えていますか?

たべている あいている きている
進行 ×
結果状態 ×
繰り返し

ここでは、「進行」と「結果状態」の2つの意味と動詞で考えてみましょう。

「繰り返し」は、どの動詞にもあるということで差がないので。

今回は、本題に入る前に、昔懐かし「継続動詞」と「瞬間動詞」という用語を使っての指導について

お話しします。

昔、何十年か前、私が教え始めたころは(今もやっている人もいるかもしれませんが)

「継続動詞」「瞬間動詞」という区分で考えるというヒントを載せている教科書がありました。

金田一春彦さん(有名かな?)は、「食べている」とか「歩いている」のように、「ている」をつけると「進行」になる動詞を「継続動詞」と呼びました。そして、「落ちている」とか「消えている」のように「ている」をつけると「結果の状態」を示す動詞を「瞬間動詞」と呼びました。学問上の、その流れからのことだったと思います。

私も「なるほど」と、それを参考に教えたのを覚えています。

「メガネをかけている」というのは、継続した時間の中でやることじゃないから、「かける」は瞬間動詞だから、「ている」は「結果状態」になる、と教えたりしました。

帽子をかぶったり、眼鏡をかけたり、というのを瞬間的にやって、「長い時間できないでしょ?だから、この「ている」は…」といって、Aさん、Bさんのイラストを見せて、「Aさんはメガネをかけています」「Bさんは帽子をかぶっていいます」と教えました。

 

いろいろ実演しましたよ。「すわります」(はい、一瞬)「すわっています」「たちます」(はい、一瞬)「たっています」

対比も重要です。「書いています、書いています、書いています」(えんえんと時間的に継続することを実演)

「あるいています、あるいています、あるいています」「テレビをみています、みています、みています」

ということで、「継続できる動詞」と「瞬間で終わってしまう動詞」で、「ています」が表すことが違うんだな、と納得させたつもりだったんです。

それはそれで学生たちは、その時は、納得してくれたのですが。

 

中級になって、ある学生が

S(Student)「先生、『電気をつけています』と『電気がついています』って時間違いますか?」
と聞いてきたんです。

私の独り言:ん?確かに、『電気をつけています』は今、まさに誰かが電気をつけている最中のイメージで、「進行」だから、「(電気を)つける」は「継続動詞」だよな。『電気がついています』は、「結果状態」だから、「(電気)がつく」は「瞬間動詞」。

つまり、「つける」は時間幅があって、「つく」は一瞬っていう???

でも、学生の疑問は、そのふたつが同じ時間幅じゃないか、ってことだろ?

確かに「つく」が一瞬で「瞬間動詞」だったら、「つける」も「瞬間動詞」?

なんだか、わからなくなってきた。

ということで、「瞬間動詞」「継続動詞」という分類だけでは、限界があるとしったという個人的な歴史の流れで今回は終わりです。