ここでは、有名どころの「アスペクト」の記号、「-ていー」を紹介します。
前回「たべはじめた」の「たべ」核の動詞、「はじめ」アスペクト(開始)「た」テンス(過去)と紹介しました。
それに倣うと、「たべていた」は「たべ」核の動詞、「てい」がアスペクト「た」テンス(過去)になります。
「てい」って????
実際に正確に分析しようとしている学者さんは /-tei-/とかの記号を使って表していると思いますが、
ふつうの人は、「てい」って言われてもピンとこないので、後ろのテンス部分もいれて「ている」と表記することが多いようです。なので、ここでも、「ている」で、お話ししますが、最後の「る」はテンスだということをお忘れなく。だから、「ていた」というのは「てい」というアスペクトは同じで、「た」がテンスの過去を示すと考えるのが原則です。
では、「ている」の意味するものとは?
★ここで、お断りしておくと、「ている」は意味が多く、ここまで、ベルトで説明して、すっきりしている人も、また迷宮に入ってしまうかもしれません。ので、ご了承を。
だから、「ている」に関しては、ベルトでの説明もちょっと、複雑になります。
「たべている」で行きましょうか。
① 「今、ラーメンを食べている」 まさに真っ最中。赤い横長ベルトの真ん中です。左右に赤いベルトがある、ということ。
②「毎朝、ラーメンを食べている」 これは、繰り返しです。ベルトは不要。赤い点(食べる点)が、青い点(発話時点)の左右に点点点といくつもある様子です。左右にあることが大切。「たべていた」だと、青い点の左側だけに赤い点が点点とあることを意味し、右にはありません。
他にも警察が「犯人は、ここで、おととい、ラーメンをたべているんだ」とか、別のもありますけど、置いときます。
では、「開いている」でみましょう。
①「今、ドアが開いている」 これは、「開く」という動詞部分の「閉⇒開」への変化ではなくて、もう、その変化が終わって、静かに静止している状態ですよね。「結果状態」とか「変化の結果状態の継続」などということもあります。ベルトでいうと、赤のベルトの右端よりも、右側に「今の状態」はある、ということです。(こういうのは、図で示すと楽なんですけど、動画でも取りますか)
②「毎朝、ドアが開いている」 これは、繰り返し。
さらに「着ている」でみてみます。
①「今、着物を着ているから、もう少し待って」 これは、真っ最中ですね。赤ベルトの真ん中。「今、ラーメンを食べている」と同じグループ。
②「今日、山田さんは新しい着物を着ている」 これは、「着ていない⇒着ている」の変化の結果状態を表します。「ドアが開いている」と同じグループですね。
③「佐藤さんは、毎日、着物を着ている」 これは、繰り返し。
ということで、
名前を付けて、「真っ最中」を「進行」(現在進行形というのもありますね、英語に)
「繰り返し」は「習慣」でもいいんだけど、「繰り返し」にしておきますか。
「変化の結果の状態の継続」は、「結果状態」にしておきましょう。
すると、
たべている | あいている | きている | |
進行 | 〇 | × | 〇 |
結果状態 | × | 〇 | 〇 |
繰り返し | 〇 | 〇 | 〇 |
という表ができます。
自然に使っているから、母語話者には問題ないのですが、
それでも、中学一年生で、「ている」を「be ing」と覚えていると、
Everymorning I am eating ramen. (習慣?)
Now the door is opening. (もう開いているのに?)
Yamada-san is putting on a new kimono. (いやいや、これじゃ着ている最中になっちゃう?)
なんてことも起こります。 翻訳がまずい典型例ですね。
また別の回では、なぜ、「ている」の意味が動詞によって変わるのか。について、話したいと思います。
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