田中さんが私に花をくれました。
の「が」「に」「を」は助詞と言います。
形に変化がなくて、別の語彙(名詞や動詞)について、いろんな働きをするものです。
働きによって、「格助詞」「接続助詞」「並列助詞」など名前が変わります。
ここでは「と」で考えます。
私は佐藤さん「と」散歩に出かけた。 の「と」は「格助詞」です。
格助詞というのは、「出かけた」という動詞に対して、「佐藤さん」がどんな役割をはたしているか、を示すものです。
「私」が「出かける」ときに「一緒に行動する存在」だということを示しています。
これだけでは、わかりにくいでしょうか?
私はさとうさんをたたいた。(物騒で申し訳ないですが)
この「を」は格助詞で、「佐藤さん」は、たたかれる方、つまり、「たたく」の対象だよ、ということを示しています。
私は佐藤さんとたたいた。
ここでは「を」がついた名詞がないので、対象は何かわかりませんが、
ともかく、「と」を使うことで、「佐藤さん」は一緒に行動、たたくという行為をする人だよ、ということを示しています。
だから、ある述部があって、(ここでは、「たたいた」)
「佐藤さん」という名詞がその文にあるとき、
「と」が佐藤さんの後ろにくれば、「佐藤さん」は一緒にする人だよ、という意味。
「を」が佐藤さんの後ろに来れば、「佐藤さん」は、たたかれる人だよ、という意味。
格助詞によって、文中での「佐藤さん」の立場を明らかにしているわけです。
ちょっと、冗談だと思って文をみてください。
私は佐藤さんでたたいた。
この「で」も格助詞です。 働き、わかりますか?
「で」もいろいろな意味があります。
「佐藤さん」が店や広場だったら、「たたいた」の行われた場所を示します。
部屋でテレビを見た。 の「で」と同じ。
「佐藤さん」が棒のようなおもちゃや、ものの名前なら、それを使って、「たたいた」、つまり、たたいた道具が「佐藤さん」になります。
鉛筆で絵をかいた。 の「で」と同じです。
いずれにしても、「佐藤さんで」たたいた。 なら
「佐藤さんという場所で」たたいた か
「佐藤さんという道具で」たたいた になります。
もう一度出しますね。
わたしは佐藤さんとたたいた。
わたしは佐藤さんをたたいた。
わたしは佐藤さんでたたいた。
文の中で「と」「を」「で」を使い分けることによって、「佐藤さん」の文での役割が変わることが分かったいただけたでしょうか?
この役割を「格」と覚えておいてもいいかもしれません。だから、「役割=格」を決める助詞になると。
今回は格助詞としての「と」の話でした。
★★ちょっとだけヒント★★
こどもと歌を歌う。
彼と旅行に行く。
の「と」は一緒にする、ということですね。
でも、ひとりで、歌うことも、旅行することもできるので、「と」の部分はなくても大丈夫。
あなたと結婚したい。
君と戦いたい。
の「と」は、一緒にするんだけど、「と」の前の人がいないと、そもそも「結婚」「戦う」というのはできないですね。 だから、さっきの「歌う」「旅行」などの前の「と」とは、役割が違うぞ、それは動詞の種類によりけりだよ、ということも知っておくといいです。
最後の例文
わたしはAさんと殴った。
わたしはBさんと殴り合った。
Aさんの前の「と」は、一緒にする方。Aさんは、痛くない。(殴ったこぶしが痛いのは別)
Bさんの前の「と」は 一緒にするんだけど、それは相手として。Bさんは、殴りもするけど、殴られる。
ということで、「と」の意味がちょっと違うのはわかりましたか?
でも、これも格助詞ですよ。
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